微妙な空気になってる所に、誰かのスマホが鳴って佐野くんが電話に出た。
「今から?うん、いいよ。19時に駅前ね。了解」
佐野くんが短い会話をしてから通話を切り、鞄を手に取る。
「さっき誘われたから、今日はこの辺にしとくわ」
よかった、やっと諦めてくれた!
ホッとしたのも束の間、「ん」と言って手を差し出してきて頭に疑問符を浮かべる私。
「携帯出して、ライン開いて」
「えっ……あ、うん?」
断る暇もなく、言われるがままにスマホのメッセージアプリを開くと、すぐ様奪われ勝手に操作された。
「ちょっと、何してんの!?」
慌てて取り返そうとした時には、もう返されて佐野くんのアイコンが追加されている。すごい早技だね!?
「ねぇ、交換するなんて一言も言ってないよ!」
「こうでもしないと避けられると思って」
だからって、ちょっと強引じゃない……?
避けられるようなことしてる自覚あるんだ。
「気が変わったらいつでも言って。直接言うの恥ずかしかったら来年でもいーよ」
自然と腰に手を回し、私の耳元に顔を寄せ低い声で囁かれ、背筋がゾクッと震える。
「結構ですっ!!」
はーー、危なかった……咄嗟に距離を取ったからよかったものの、気を抜いたら簡単に甘い言葉を信じて好きになっちゃいそうで怖い。
それくらい言われ慣れてないし、佐野くんが見惚れる程の美少年ってこと。


