絶対顔真っ赤だと思うし、頭の中がパニックになってるよ!バクバクと心臓が煩く鳴り続けている。


「……俺もごめん、急いでてちゃんと前見てなかった。大丈夫?」

「う、うん」


倒れていた男子が静かに立ち上がった。

170センチ以上は確実にある身長に、サラサラの黒髪ときれいに整った顔立ち。


ちょっと廊下を歩いただけですれ違う生徒がみんな振り向き、爽やかな笑顔に落ちない女子はいないって噂がある。

それくらい美形で、困り顔すらもカッコいいその人には見覚えがあった。


私と同じクラスで、うちの学校で一番イケメンだと言われている篠宮慧くんだった。いつも男女問わず、たくさんの人に囲まれてる人気者なんだよね。

よりによって、篠宮くんと事故チューしたなんて!!


「えっと……倉科だよな?1年の時、掃除当番一緒になったことあるから覚えてるよ」

「……!」