スマホを見ればいつもの起きる時間より少しだけ早い。
ドクドクと激しく跳ねる心臓を両手で押さえて、深い溜め息を吐いた。
どんな夢見てるのよ……これじゃ、キスされたがってるみたいじゃん。
思い出すだけで顔が火がついたみたいに熱くなって、ベッドの上でごろごろ転がる。
「……願望とか、言わないよね?」
そうだったらマジで恥ずかしい。
まさに煩悩の塊。
穴に入って上から土を被せてもらって、永久に埋まっていたいくらい、恥ずかしさでどうにかなりそう。
……篠宮くんに“天音”って呼ばれて、好きでたまらないって言う熱っぽい目で見られて、何の口実もなくキスする夢。
「いくら夢でもそんなの耐えられない……!!」
必死にかき消そうとしても、夢の光景は脳裏に深く刻まれて忘れられなかった。
普段は夢の内容なんか覚えてないくせに。
これが現実だったら、幸せだったんだろうな。