咄嗟のことでどうしようもできなくて、ぎゅっと目を瞑った。
「…………危ない!」
それに気づいた相手が、慌てて私の腕を掴み引き戻そうとしてくれた。
でも、引っ張る力が強すぎたみたい。引っ張られた身体は、今度は相手側に勢いよく突っ込んでしまい、私が押し倒す形で床に倒れ込んだ。
うわぁ、すごい体勢になっちゃった……!
がっしりとした体つきでようやく男子だと分かるのと同時に、唇に感じる違和感。
なんだろう、この柔らかい感触?
すぐ目の前に映る直視できないほどきれいな顔を見て、時間はかかったもののようやく柔らかいものの正体に気づく。
唇が合わさってる状態……って、これってまさかキスしてる!?ええっ、嘘でしょ!?
「えっ、あ、ごっ!ごめんなさい!!」
慌てて男子の前から退いて、唇を両手で覆いながら後ずさった。