篠宮くんが机に手を置き、グッと近づいてきて私達の間にほとんど距離はなくなる。

ち、近い!!


徐々に私の心拍数が上がっていくのを感じた。

もう、やめて……こっちは美形を見慣れてないんだから。ドキドキしすぎて胸が苦しいよ……!


離れたいのに体が言うことを聞いてくれない。



「……1回だけでいいから、キミともう一度キスがしてみたい」


「………えっ!?冗談、だよね?」


「ごめん、変なこと言ってんのは分かってる」

「な、何で私……?」


「さっきも言ったけど、今までしてきた中で一番気持ちよかったから。中毒性があるというか」

「えっと、彼女さんに悪いと思わないの?」


「今は彼女いないから大丈夫」


私は何も大丈夫じゃないんだって!!

心の準備が出来てないんだよ!


「……だめか?」


まっすぐな眼差しに、ドクンと心臓が高鳴って。


「…………い、1回だけなら」


なんでこの時に頷いてしまったんだろう。


私の答えに篠宮くんは目を見開いた後、意を決したように肩に手を置いてゆっくり口付けした。


反射的に目を瞑る。

昨日の事故とは違って、意志を持ったものだ。



「……っ!」

「………んっ」


柔らかく押し付けられる感触と、そこから伝わる体温。まるで体温を移されてるみたい。


肩に置かれた手が背中に回され、軽く撫でられてからグッと引き寄せられた。

顔は熱いし、鼓動はどんどん早くなっていって痛い。


こんな気持ちいいキスされたら、何だか頭がクラクラしてきた……