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「ねー、これからクレープ食べに行かない!?」
「わーー、いいね、行きたい!」
放課後、綺羽が最近駅前にオープンしたクレープ屋のインスタを見せてくる。前から気になってたお店だ!
甘いもの食べて、篠宮くんに振られたかもしれないショックを少しでも軽減出来たらいいけど……
クレープを食べることを楽しみにしてたのに、教室を出るの遅かったせいか担任に運悪く雑用を押し付けられてしまい、理由付けて断ろうとしたけど上手く丸め込まれた。
もー、面倒くさいなぁ……
『マジかー、あたしも手伝おうか?』
『大丈夫、先に行っててー!』
綺羽に連絡してから、仕方なく空き教室へ向かう。
どれくらいかかるのかな、できるだけ早く終わって欲しいなんて考えながら扉を開ける。
「……あ」
「えっ?」
そこに居たのは、なんと篠宮くん。
思わず静かに扉を閉めて頭を抱えた。
雑用って私一人じゃなかったの!?
本来なら一緒になれて嬉しいんだけど、今はまだ会いたくなった……これって入るべき?
でも、篠宮くんは一緒にいたくないだろうと思う。
扉の前で悶々としていたら、篠宮くんが扉を開けて覗き込んできた。
「あ、倉科?」
「は、はいっ!」
「先生に頼まれてきたの?」
「うん」
「偶然だな、俺も。資料をホッチキスで止めるだけで俺1人でも出来るから、もし用事あるなら帰ってもいいよ」
そう言ってくれてるけど、後ろを見ると机の上にかなりの量の紙が置いてある。これは手伝わないと絶対時間かかるよね。
よし、昨日の事を話すチャンスができた!


