大きな手が私の頬に添えられ、俯いていた顔をそっと掬い上げられた。
うう、今の顔は見られたくなかったんだけどな。
きっと、リンゴみたいに真っ赤で目も当てられない状態だから。
ぱちっと目が合って、優しい視線が注がれる。
何か言いたいのに言葉が出てこない。
「何その顔、かわいすぎ。誘ってんの?」
「へっ!?」
し、篠宮くんこそいきなり何言ってるの!?
「あー……なんかすげー深いキスしたくなってきた」
「ええっ、あ、あの」
ここなら誰もいないし私は大丈夫だけど、さすがにリレーが始まっちゃうよ
って言いたいはずが、あたふたすることしかできない。
そんな情けない私に篠宮くんはニコッと微笑み、窓の外を見てから距離を離した。
「……でも、そろそろ行かないと。俺、走るの好きなんだよ。
1位を取るところ、ここから見てて」
チュッ
「……っ!」
私のほっぺたに軽い口づけを落とし、いたずらっ子のような笑みを浮かべる。
「告白の返事、楽しみにしてる」
それだけ言うと、篠宮くんは踵を返して早足に教室の扉へと向かって行って。
逞しい背中に慌てて声を掛けた。
「1位、取れるといいね!頑張って!」
「ん、ありがと」
私の言葉に一瞬振り返り、笑顔を魅せた篠宮くんはそのまま駆け足で去っていった。


