「わーー、お願いやめて!恥ずかしいから!」
「えー、何でよ。つまんなーい」
不満そうに口を尖らせる綺羽。私にカラオケはまだ早いよ!
篠宮くんと同じ空間にいるんだって考えただけで、ドキドキして無理!
……あれ?また篠宮くんと目があったような気がする。
「今、もしかして天音の事見てたんじゃない!?」
「いや、私じゃないよ」
「ううん、絶対天音を見てる!ほら、脈アリっぽいじゃん!」
興奮気味に綺羽が肩を体を揺らしてきた。
確かに篠宮くんが周りと談笑しながらこちらをじっと見つめてるのが分かる。
私は顔が赤いのを隠すように、目を逸らす。篠宮くん、何か用事かな……?
授業中もずっと視線を感じていて、私が一番後ろで篠宮くんが斜め前にいるんだけどチラ見された回数を数えるだけで60分が過ぎた。
やっぱりキスしたから怒ってるんだよね。
それとも私の事が好きとか?いや、それはありえない。とにかく、言ってくれないとわかんないや。
……分かった、早く謝れよって言う催促なのかも。
一刻も早く話さないと、これ以上は篠宮くんの視線に耐えられない。


