虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 おそらく四十歳を超えている男は、モーゼル伯爵と呼ばれていた。鋭い目つきも、お伽話に出てくる魔女のような鷲鼻も、アルトリシアには恐ろしく映る。

 それだけでなく、男は家族と同じように彼女を蔑んだ。廊下にいたところを邪魔だと蹴り飛ばされたこともある。

(どうしてお城にいるんだろう……)

 とても立派できれいな場所だと思ったからこそ、ここで彼の姿を見たくはなかった。

『見つかりたくねェなら、外を通ればいいだろ?』

(勝手にお庭に入っていいのかな?)

『迷子になりましたって言やあいい』