虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 アルトリシアが聞いてもわかるほど嫌味のこもった言い方だが、ゼノハルトは気にせず同席した役所の男に目を向ける。

「始められるか?」

「はい、さっそく行います」

 アルトリシアはずっと顔を上げずにうつむいていた。ゼノハルトの後ろに隠れるようにして、可能な限りかつての家族を避けている。だから役所の人間がどのように手続きをしたのか見ていなかった。

「アルトリシア・マイネスは本日をもってアルトリシア・エクレルとなる。……よろしいですか?」

「ああ」

「問題ありませんよ」

 ゼノハルトと子爵の声が重なる。

「しかし、驚きました。まさかそれが生きていたとはね」