虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 今度は視線を下に落とす。

 足が床に届かずぷらぷらと揺れている。記念すべき日のために新調した靴が輝いて見えた。

『目的地まで三日かかるんだよな。人間ってのは不便な生き物だねェ』

 あくびを噛み殺しながらの声が聞こえ、アルトリシアは心の中で返事をする。

(ゼノハルトさんが言ってたよ。街に『転移装置』があるんだって)

『その話のとき、兄貴もいたよな?』

『聞いてねェ』

『俺は聞いてたから、兄貴が聞いてなかっただけだな』

 呆れたルブの様子が目に浮かび、ついアルトリシアは笑ってしまった。しかし、訝しげなゼノハルトの視線に気づき、すぐに引っ込めて背筋を正す。