まったく頭になかった考え方だ。これまではアルトリシアが泣いても誰もなにも思わなかった。否、不快や嫌悪は顔に出していたが。
「ゼノハルトさんも泣いちゃう……?」
「ああ、そうだな。泣くかもしれない」
使用人たちがこれを聞いたら、「絶対にありえない」と口を揃えて言ったに違いない。そのぐらい、彼に涙は似合わなかった。
「……本当にいいんですか?」
ゼノハルトはこわごわと尋ねたアルトリシアの頭を自身に引き寄せ、優しくなでる。
「アルトリシアがよければ」
「いいです。とってもいい」
南国の海に似た青緑の瞳がじんわりと潤む。
「ここにずっといたいです。家には帰りたくない」
「ゼノハルトさんも泣いちゃう……?」
「ああ、そうだな。泣くかもしれない」
使用人たちがこれを聞いたら、「絶対にありえない」と口を揃えて言ったに違いない。そのぐらい、彼に涙は似合わなかった。
「……本当にいいんですか?」
ゼノハルトはこわごわと尋ねたアルトリシアの頭を自身に引き寄せ、優しくなでる。
「アルトリシアがよければ」
「いいです。とってもいい」
南国の海に似た青緑の瞳がじんわりと潤む。
「ここにずっといたいです。家には帰りたくない」

