彼が養子にならないかと提案したのは、マイネス子爵家による虐待を聞いたからだ。それは間違いないが、だからといって同情心だけではないのだと声に込められている。
「私……役立たず、です」
「役に立つ者を側に置きたいわけではない。仕事でもあるまいに」
「じゃあ、ここでなにをすればいいんですか?」
「なにも」
伸ばされた手に引き寄せられ、アルトリシアはゼノハルトの膝の上にのる。
「笑ってくれさえすればいい」
「それだけ……」
「またお前が泣くようになったら、私も悲しい」
「私……役立たず、です」
「役に立つ者を側に置きたいわけではない。仕事でもあるまいに」
「じゃあ、ここでなにをすればいいんですか?」
「なにも」
伸ばされた手に引き寄せられ、アルトリシアはゼノハルトの膝の上にのる。
「笑ってくれさえすればいい」
「それだけ……」
「またお前が泣くようになったら、私も悲しい」

