虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 彼が養子にならないかと提案したのは、マイネス子爵家による虐待を聞いたからだ。それは間違いないが、だからといって同情心だけではないのだと声に込められている。

「私……役立たず、です」

「役に立つ者を側に置きたいわけではない。仕事でもあるまいに」

「じゃあ、ここでなにをすればいいんですか?」

「なにも」

 伸ばされた手に引き寄せられ、アルトリシアはゼノハルトの膝の上にのる。

「笑ってくれさえすればいい」

「それだけ……」

「またお前が泣くようになったら、私も悲しい」