虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

「私は彼女以外愛せない。だから余計な心配はするな」

 自身が捧げた愛を生涯貫くのだという意思は、まだ色恋がよくわからないアルトリシアにも伝わった。

「病弱だったせいで子どもも望めなくてな。娘ができたと知れば、きっと喜ぶ」

 初めてゼノハルトが優しく微笑する。

「もっとも、望まないならば断わって構わない。残念には思うが」

「残念、ですか」

「お前を見ていると温かい気持ちになれる。ありとあらゆる喜びを与えて、幸せにしてやりたい、と。こんなにかわいらしい存在は初めて知った」

 それは、世辞ではなく心からの言葉だった。