虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

「そうすれば私が保護者になってやれる。つらい場所に送り出す必要もなくなるのだが」

「ど……どうしてですか。だって、そんなの迷惑になる」

 ゼノハルトは独身だが、これからそういった相手が現れる日も来るだろう。

 そう続けたアルトリシアに向かって、彼はゆっくりと首を横に振った。

「十年前、妻がいてな」

 ゼノハルトが再び紅茶に手を伸ばす。

「いわゆる政略結婚だったが幸せな日々を送っていた。彼女が流行り病にかかるまでは」

 語る声は普段と同じように淡々としており、感情を抑えて聞こえる。しかしアルトリシアは彼の眼差しから深い想いを感じ取った。