虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 これがマイネスの家なら、熱い茶の入ったカップを投げつけられるに違いない。しかしこのエクレル家にそんな人間はいないと、もう知っている。

「おいしいですか……?」

 反応を待ちきれずに聞いたアルトリシアへ、ゼノハルトは表情を揺らさずに頷いた。

「紅茶の良し悪しはわからないが、特別な味がする」

 その言葉の直後に、彼はアルトリシアをそっとなでた。

「きっとお前が心を込めて淹れたからだろうな」

「お代わり、いっぱいあります」

 褒められたのがうれしくて、まだ半分も飲み終わっていないのにそんなことを言ってしまう。