彼は代々続く武人の一族の出らしい。常に周囲を警戒した様子を見せるのも、威圧的な空気を漂わせているのも、そのせいだと使用人たちから聞いている。
最初は彼のそんな姿を少し怖いと感じていたアルトリシアだが、領主としての仕事の合間を縫って話をしに来てくれたり、大量の贈り物をくれたり、どんなに忙しくても毎晩眠る前に顔を出してくれたりと大切に扱われているのを感じ、すっかり心を許していた。
「あの、おいしいお紅茶があるんです。ゼノハルトさんと一緒に飲もうと思って」
ぬいぐるみを抱き締めたまま言ったアルトリシアの身体が、彼の手でふわりと宙に浮く。彼はこんなふうによく小さな彼女を抱き上げて運んだ。
最初は彼のそんな姿を少し怖いと感じていたアルトリシアだが、領主としての仕事の合間を縫って話をしに来てくれたり、大量の贈り物をくれたり、どんなに忙しくても毎晩眠る前に顔を出してくれたりと大切に扱われているのを感じ、すっかり心を許していた。
「あの、おいしいお紅茶があるんです。ゼノハルトさんと一緒に飲もうと思って」
ぬいぐるみを抱き締めたまま言ったアルトリシアの身体が、彼の手でふわりと宙に浮く。彼はこんなふうによく小さな彼女を抱き上げて運んだ。

