虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ＆もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

「サフィもルブもとってもきれいだよ」

　思ったことをそのまま伝えると、満足そうな笑みが返ってくる。

　しかし、なにか言おうとしたその口が不意に閉じた。扉の方へ目を向けたサフィの姿がふっと溶けて消える。

「人が来たなら言ってくれよ！」

　そう言いながらルブの姿も溶けた。そうすると、それまではなかった指輪がアルトリシアの手に現れる。

　彼らが姿を消してすぐ、扉を叩く音が聞こえた。

「どちら様ですか？」

　立ち上がって駆けたアルトリシアが扉を開くと、そこにはゼノハルトが立っている。

　相変わらずの長身のせいで、彼女は首が痛くなるくらい見上げなければ彼の表情を窺えなかった。