虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 誰よりもアルトリシアに尽くす彼は、彼女が思っていたよりもずっと若かった。辺境のエクレル領の領主と聞いて、てっきり自身の父親ぐらいの年齢だろうと予想していたが、使用人の話を聞くとまだ二十七歳だという。実年齢より上に思われがちなのは落ち着きがありすぎるからだろうとのことだ。最近はアルトリシアと接しているからか、近寄りがたい空気もだいぶ和らいでいるらしい。

 そういうわけで、アルトリシアはこれまでの八年間が嘘だったかのように幸せな生活を送っていた。

「それでね。今朝もゼノハルトさんが髪飾りをくれたの!」