虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 その問いかけに、アルトリシアは首を横に振って答える。

「帰りたくない……」

「わかった。ここにいたいのなら、いつまででもいればいい」

 え、と顔を上げた彼女に厳しい眼差しが向けられる。

「無理に帰らせるつもりはない。自分の家だと思って過ごせ」

「でも、あの、悪いです」

「当主の私がいいと言うものを、なぜお前が悪いと決める?」

 叱られたように感じ、アルトリシアはきゅっと首を引っ込めた。その反応から言葉を誤ったと気づいたのか、ゼノハルトが若干気まずそうな顔をする。

「子どもが遠慮などするな」

 柔らかな金髪の上に大きな手がのった。