メルニエラが青い魔石を持っていたら、逃げるだけ時間の無駄である。彼女の視界に入った時点で魔法は発動してしまい、グラスに一杯程度の水がアルトリシアを襲う。

 水の球がぶつかるぐらいなら、炎や雷に比べればまだ痛みは少ない。しかしメルニエラが狙ったのはアルトリシアの喉の奥。

 ほんのわずかな水でも中から喉を塞げば容易に呼吸を奪える。メルニエラはアルトリシアが苦しむのをわかっていて、気管に水を留めた。