「ゼノハルト、アルトリシア嬢を幸せにしてあげるんだよ」

「言われずとも」

 答えたゼノハルトの手で抱き上げられ、アルトリシアの身体が浮いた。

 こうして彼の腕に収まるのもすっかり慣れてしまった。どうして今まで他人でいられたのかわからないぐらい、この温かな腕の中は安心する。

「私たちの家に帰るか」

「うん!」

 これから訪れる幸せな日々を思い、アルトリシアは期待に胸をふくらませたのだった。