虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 実家について考えると、胸がつきんと嫌な痛みを訴える。必要な人間ではないと判断され、廃鉱に突き落とされた悲しみと絶望がよみがえった。

「……あ」

 とてもつらかった、と思ったときにはもう、涙が頬を伝っていた。

「ごめ、ごめんなさい、ごめんなさい……」

 説明をしなければいけないのに、瞳からこぼれるしずくが止まってくれない。

「……謝らなくていい」

 必死に泣き止もうとする幼い少女に、ゼノハルトが静かな声で言った。

 アルトリシアは伸びてきた大きな手に身体を強張らせるも、ぎこちなく抱き締められ、頭をなでられて息を止めた。