親子で話をまとめたあと、アルトリシアは改めてファイスに家に帰りたい旨を伝えた。

「でも、ときどき遊びに来ていいですか?」

 彼の提案したすべての選択肢を断ったために、ティトと会えなくなるかもしれない。

 そんな思いからおそるおそる尋ねたアルトリシアだが、ファイスは拍子抜けするほど明るく言った。

「もちろんだ。ティトと一緒に待っているよ」

「ありがとうございます!」

 これでなんの問題もなくなったかと思いきや、アルトリシアがエクレル領に戻ると知って不満を訴えた者がいた。

「ぼくはお姉ちゃんがずっと遊んでくれると思ったんだよ。どうしておうちに帰っちゃうの?」