「ならば、あとでファイスに伝えておこう。またよろしく頼むと」

「でも危ないことはしちゃだめだよ」

「戦いとは危険なものだ」

 下手に安心させるような発言をしないのがゼノハルトだ。案の定、アルトリシアは不安そうにするが、彼が懐から取り出したものに気づいて目を瞬かせた。

 アルトリシアが贈ったお守りだ。

「だが、お前のくれたお守りがあれば問題ない。必ず帰ってくる」

「私、もっといっぱい作るね! パパにいっぱいつけてあげる!」

「……ほどほどに頼む」

 やや困惑した表情のゼノハルトには気づかず、アルトリシアは全身のいたるところに手作りのお守りをつけた父を想像した。