淡々とした言い方に変化はないが、幾分気を遣おうとしているのは伝わる。そもそも助けてくれた相手なのだから必要以上に警戒しなくていいはずだと、アルトリシアはほんの少しだけ頷いた。
ゼノハルトは椅子をベッドの脇に引き寄せて座ると、幼い彼女と目線を合わせるようにして再び話しかける。
「まずは名乗るべきだったな。ゼノハルト・エクレルと言う。エクレル領の現当主だ」
無駄のない自己紹介を聞き、アルトリシアはこくりと息を呑んだ。
「あ、アルトリシアです。アルトリシア・マイネス」
「マイネス? 子爵家の?」
「はい」
ゼノハルトは椅子をベッドの脇に引き寄せて座ると、幼い彼女と目線を合わせるようにして再び話しかける。
「まずは名乗るべきだったな。ゼノハルト・エクレルと言う。エクレル領の現当主だ」
無駄のない自己紹介を聞き、アルトリシアはこくりと息を呑んだ。
「あ、アルトリシアです。アルトリシア・マイネス」
「マイネス? 子爵家の?」
「はい」

