虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

「ゼノハルト様。相手はちっちゃな子どもなんですよ。いきなり問い詰めても怯えるに決まってるじゃないですか」

「別に問い詰めてなど」

「ご自分が誤解されやすい質だってご存知でしょう?」

 指摘され、ゼノハルトが眉根を寄せる。アルトリシアからすれば機嫌を損ねたようにしか思えなかったが、女性は気にせずさらに続けた。

「まず、見下ろすのはおやめください。ただでさえ背が高くていらっしゃるんだから、お嬢様だって怖がりますよ」

「……たしかにずいぶんと小さいが」

 ちら、と橄欖石色の瞳がアルトリシアを捉える。

「怖がらせるつもりはない。楽にしていろ」