虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ＆もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

　瞳の色は暗い緑。あるいは黒味がかった黄緑だろうか。春を思わせる色でありながら、冷たさを感じさせるのは彼の表情のせいだろう。

　歓迎されているとは思い難い男の姿に、アルトリシアはふるふると身体を震わせた。

「あ、あの」

　なにか言わなければと口を開くが、ゼノハルトはそれを手で制した。

「なぜ、あのような廃鉱にひとりで倒れていた？」

「わ、私、その」

　助けてくれた人だとわかっていても、叱られているようで声がうまく出ない。見上げるような体躯も、武骨な手も、射抜くような瞳も、なにもかもが恐ろしい。

　すると、その様子を観察していた女性がやれやれと首を横に振った。