尋ねたアルトリシアにふたりが返答するよりも早く、扉を叩く音が聞こえ、ややあってから開かれた。
「あら、お目覚めでしたか!」
恰幅のいい女性がぱっと顔を輝かせてベッドまで足早に近づく。
見知らぬ人物に距離を縮められ、アルトリシアは怯えたように身体を震わせたが、その女性は彼女になにもひどい真似をしなかった。そればかりか、安心したように優しく手を握る。
「ずいぶんと長く眠っていらっしゃるから、ゼノハルト様も心配なさっていたんですよ」
「ゼノ……?」
「ああ。あなたを廃鉱の近くで発見した、エクレル領のご領主様です」
「あら、お目覚めでしたか!」
恰幅のいい女性がぱっと顔を輝かせてベッドまで足早に近づく。
見知らぬ人物に距離を縮められ、アルトリシアは怯えたように身体を震わせたが、その女性は彼女になにもひどい真似をしなかった。そればかりか、安心したように優しく手を握る。
「ずいぶんと長く眠っていらっしゃるから、ゼノハルト様も心配なさっていたんですよ」
「ゼノ……?」
「ああ。あなたを廃鉱の近くで発見した、エクレル領のご領主様です」

