屋敷に連れ戻されたアルトリシアが意識を取り戻したのは、それから三日が過ぎてからだった。

 身体の傷だけでなく心労もあったようで、目を覚ましてからもしばらくは口をきけないほど他人に怯えていた。唯一、ゼノハルトのみは近づくのを許され、声の出し方を忘れたアルトリシアの静養に努めた。

 人を怖がり、警戒する彼女の姿は拾われたときを思い出させる。医師は実父との出会いに加え、彼から受けた暴力によって心の傷が開いたのだろうと話した。

 ゼノハルトはアルトリシアを心配しながらも、無理に急かそうとせず、彼女が落ち着くのを根気よく待った。