虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 騎士たちを引き連れたファイスが、息を切らして彼らの前に現れる。

「ゼン、ティトは――」

「パパぁ!」

 彼が言い切る前にティトが走り出し、馬上にいたファイスは慌てて馬の足を止めた。すぐに鞍を降りて、駆け寄った息子を抱き締める。

「怖かっただろう。怪我はなかったか?」

「ぼくは平気なんだけど、お姉ちゃんが……」

 ファイスは父親のもとで眠るアルトリシアを見て言葉を失った。

 子ども特有の柔らかな頬が腫れ上がり、赤くなっている。唇の端は切れて乾いた血が付着していた。一方のティトにはこれといった傷がない。

「お姉ちゃんを助けてあげられなかったよ……」