虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 ルブは人の姿に変わる余裕もないのか、切羽詰まった調子で言う。ゼノハルトには彼の話す内容に心当たりがあった。この国で金の獅子を掲げる家門はモーゼル伯爵家しかない。

「お前は平気なのか? 今までどうしていたんだ」

「妙な魔法のせいで気ぃ失ってたんだよ。それより早く……!」

 血よりも濃い赤の瞳が、ゼノハルトを捉えて揺らめく。

「兄貴を止めてくれ!」



◇◇◇



 ふとアルトリシアは目を覚ました。起き上がろうとするとひどく身体が痛み、胃のあたりが不快に締め付けられる。

「きゅん……」