微笑んだふたりが目を丸くする。出会ったばかりのルブはともかく、サフィが彼女の笑みを見たのはこれが初めてだった。

「お前、笑うの下手なんだなァ」

 つられたようにサフィも笑い、ルブも頬を緩ませる。

(お兄ちゃんがふたりもできたみたい。怖かったけど、素敵なお誕生日になったのかも)

 ようやく肩の力を抜いたアルトリシアは、その瞬間、糸が切れたように意識を失ったのだった。