虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 一刻も早くアルトリシアのもとへ向かうため、ゼノハルトもまた、自分がなすべきことをする。



◇◇◇



 目を覚ましたアルトリシアは、しばらく自分になにが起きたのか理解できなかった。

 隠し通路よりももっとかび臭いそこは、牢獄と呼ぶ以外に思いつかない。さらにアルトリシアの右足には太い鎖が繋がっていた。牢の端から、ギリギリ鉄格子に届くかどうかといった長さしかない。

 ぽたりと頭上から落ちた水滴もどこか鉄臭く、むき出しの床は彼女の体温を奪うように冷たかった。

「ティト」

 かさつく喉から声を振り絞ると、背後で気配がした。振り返ると首輪を繋がれ震えている子犬が視界に入る。