彼もまた、魔石を核とした魔獣だ。人の姿をしているから忘れがちになるだけで。

(でもティトはいい子だもん。獣の姿になっても全然怖くないし)

 きゅうん、とティトが鼻を鳴らしてアルトリシアの肩に擦り寄った。子犬になったのかと思いきや、まだ人間のままでいる。

(大丈夫。待ってたらパパはすぐに帰ってくる。火事のときだってちゃんと無事に戻ってきてくれたから)

 ティトの手を握るアルトリシアの手は冷たく強張っていた。しかしそれを悟られないよう、彼にはぎこちない笑みを向け続ける。

「お姉ちゃん、怖いよ」

「側にいてあげるから心配しないで」