ひとまず腰が抜けたらしいティトを引っ張り、並んでソファに座る。次いで、ティトが不安がらないようにそっと寄り添った。

「ねえ、さっきの飴を食べよう? ティトにあげたやつ」

 彼は視線をさまよわせながら袋を取り出すと、アルトリシアの手に飴をひと粒のせた。自分の手のひらにも出して口に運ぶ。

「甘くておいしいね」

「……うん」

「元気出して。悪い魔獣なんてパパがやっつけちゃうんだから」

「やっつけちゃうの……?」

 アルトリシアは咄嗟に自分の口もとを手で覆っていた。今のは失言だった。

「悪い魔獣だからだよ。いい魔獣はやっつけないの」