同じくらい恐怖を感じていたアルトリシアの心が決まった。年上の自分がしっかりしなくては、彼を怖がらせてしまう。

(ルブ、サフィはなにか言ってる?)

『自分がアルティの側にいたかったって文句を言ってる』

(そんな場合じゃないのに)

 呆れつつ、アルトリシアは床にへたり込んだティトの手を握った。

「大丈夫。パパはとっても強いから、きっと陛下を守ってくれるよ」

「うん……」

 本当はアルトリシアだって泣きたかった。だが、涙を見せるわけにはいかない。

(どうして今日は怖いことばっかり起きるんだろう)