「ふたりとも、部屋を出るんじゃない。ここなら守りの魔石で安全だし、騎士たちもいる。……わかったね?」

 真剣な表情をしたファイスに、ティトも感じるものがあったのか深く頷いた。

「時間が惜しい。歩きながら報告を聞こう」

「ゼンがいてくれて心強いよ」

 父親ふたりが慌ただしく部屋を出て行くと、あとにはティトとアルトリシアが残された。既にティトは怯えたように眉を下げて震えている。

「お姉ちゃん、パパは大丈夫だと思う……?」

 ティトは今すぐにでも子犬化してしまいそうだった。

(私が守ってあげなきゃ)