ゼノハルトは口をつぐんだ。アルトリシアの生家が関係しているなら、聞き流せない。

「私になにをしろと」

「有事の際は協力してほしい。どうも最近はおかしな報告を聞く回数が増えて――」

 ファイスが言い切る前に、廊下の方で騒がしい物音がした。

 国王とその客が話している場だというのに、ノックもせず兵士が飛び込んでくる。

「申し上げます! 王都に魔獣が現れました――!」