虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 男はサフィを穴が開くほど見つめ、ややあってから破顔した。

「兄貴!」

 勢いよく飛び込んできた弟が、危なげなく兄に受け止められる。

「ほんとに直ったんだな!」

「このちびのおかげでな」

 話を振られたアルトリシアがまたびくりと震える。既に信頼を置いているサフィにまたしがみつき、こわごわとルブの方へ視線を移した。。

 ルブは目が合うなり、やはり人懐こく目を細めて笑う。

「ありがとな、アルティ!」

 頭を撫でられたアルトリシアが混乱に陥る。

「ど、どうして名前……」

「兄貴に聞いた。俺たち、離れてても話せるんだ」

「会ったときに説明するのは面倒だろ?」