「パパも来てくれる? なにか買ってあげるね!」
「どちらかというと私が買ってやりたいのだが」
苦笑する父の言葉を、アルトリシアはあまり聞いていなかった。
こんなにたくさんお金があるなんて、とはしゃぎすぎて、なにをゼノハルトに買うか考えるのが忙しかったからである。
(お菓子がいいかなぁ。さっきからいい匂いがするのも気になるし。でも、今日を思い出にしたいから、形に残るものでもいいかもしれない……)
硬貨の入った袋を手にうんうんうなっていると、不意に大通りの方が騒がしくなった。
「なにかあったのかな?」

