正式にゼノハルトの娘となったアルトリシアは、それまでそうだったように平和で楽しい日々を過ごしていた。

 午前中はゼノハルトが用意した教師たちに歴史や文化を学び、午後は乗馬やダンスの練習を行った。

 空いた時間になると、大抵は屋敷の庭で本を読む。穏やかな昼下がりにのんびりと好きな時間を楽しむのは格別だ。

 今日もアルトリシアは外に出ていた。こうしている時間にあまり人が来ないのもあり、サフィとルブは獣の姿で陽の光を浴びている。