虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 ちびとばかり呼んできたサフィがはっきり彼女の名を口にする。大切なものを扱うように、神聖なものに触れるように、その声にはゼノハルトには計り知れない感情が込められていた。

「普通ではない? どういう意味だ」

「知ってて囲ったわけじゃねェんだな?」

「お前はこの子のなにを知っている」

「なんにも」

 小馬鹿にするような回答を聞いて、ゼノハルトが眉根を寄せる。

「なにが言いたい」

「そいつを泣かせたら殺すってだけ」

 ふっとサフィの姿が溶け、室内に巨大な青銀の狼が現れる。

 ゼノハルトが剣を抜くのと、サフィが彼の首に爪を押し当てるのとは同時だった。