虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 ファイスは親友が戦場を求めているとわかっていた。妻の願いのせいで自死もできず、かといって深い喪失感を埋める手段も知らないゼノハルトが、他人の手で愛した人との再会を果たそうとしているのは明らかだった。

 アルトリシアの部屋へ入ると、何体ものぬいぐるみが出迎えた。すべてゼノハルトがかわいそうな少女のために贈ったものだ。

 ――娘ができたら、毎日ぬいぐるみを縫ってあげたいの。

 子どもを望めなかった妻が語ったのを思い出す。

「……私には贈ることしかできないが。これでよかっただろうか」

 寝息を立てるアルトリシアに毛布をかけながら、かつてこの部屋を使っていた主に向かってつぶやく。