虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 知らない人間の気配に自然と委縮するも、不意に子犬がぴょんと地面に降り立った。

「きゃん! きゃん!」

「あっ、待って!」

 止める間もなく、子犬はどこかへ向かって走っていく。追いかけた先にゼノハルトともうひとり、彼と同じ年頃の男の姿があった。

「アルトリシア」

 離れていたのはほんの短い間だったのに、ゼノハルトに会えた瞬間、ほっとアルトリシアの身体から力が抜けた。

 子犬も迷子のことも忘れ、広げられた腕へと駆け寄る。

「目を離すべきではなかったな。応接間への戻り方がわからなかったのか?」

「ううん。えっと……」