家族からも捨てられず、こんな暗い場所でひとり恐ろしい思いをすることにもならなかったのだろうか。
手の中の石が偶然アルトリシアに扱えるものであったならばよかったのに、残酷にも奇跡は起きなかった。
重く柔らかいものがすぐ側に降り立つ気配を感じ、恐怖に怯えながら自身の追跡者を確認する。
そこにいたのは暗闇に薄ぼんやりと白く光る魔獣。地面を這っているのかと錯覚するほど姿勢の低い四つ足の獣は、アルトリシアなど易々と裂いてしまえるだけの爪を持っていた。爛々と光る金の瞳が幼い獲物を捕らえ、まるで笑うように細くなる。
(死んじゃう、の)
手の中の石が偶然アルトリシアに扱えるものであったならばよかったのに、残酷にも奇跡は起きなかった。
重く柔らかいものがすぐ側に降り立つ気配を感じ、恐怖に怯えながら自身の追跡者を確認する。
そこにいたのは暗闇に薄ぼんやりと白く光る魔獣。地面を這っているのかと錯覚するほど姿勢の低い四つ足の獣は、アルトリシアなど易々と裂いてしまえるだけの爪を持っていた。爛々と光る金の瞳が幼い獲物を捕らえ、まるで笑うように細くなる。
(死んじゃう、の)

