神城はあたしに言うと、口元を離してあたしに笑顔を向けた。



「じゃ、よろしくね?」



そして行ってしまった。



スズナちゃんが興奮気味にあたしに話しかける。



「なに今のー! っていうか美男美女すぎ! あたしこんなすごいツーショット見ちゃっていいの!?」



スズナちゃんはなんの疑いも持ってないようだ。



バカでよかっ…ゴホンゴホン。



何でもないです。



そして昼休み、「一緒に食べよー!」と言う親衛隊達をなんとか誤魔化して1人で教室を抜け出した。



あたしが校舎内で目立たずに1人で行動するのなんて至難の業なんだからね!?



って、それは神城も同じか…。



誰も来ない草だらけの校舎裏。



9月半ばの今は、それでもまだ虫がいる。



なんであたしがこんなとこ来ないといけないのよ…。



視線の先には、神城。



校舎の壁にもたれている神城は、スタイルも良いし王子オーラを全身に纏ってる。



足なが…。



「遅くなってごめんね」



あたしが声をかけると、神城があたしの方を見てにこっと笑った。



胡散臭い笑顔に思うのはあたしだけ?



「話ってなあに?」



かまととぶって、あたしも神城に笑顔を向ける。



あくまでもシラを切るつもりだ。



「昨日、あんなところに杉谷さんいるから驚いちゃった」

「それ、さっきも言ってたけどなんのこと…? あたし、昨日は学校終わってからずっとお家にいたよ?」

「杉谷さん、とぼけるの上手だね」



あたしの話を全く信用しない神城。



「誰かと見間違えたんじゃないかな?」



あたしが言うと、神城はふっと軽く鼻で笑った。



むかつく!!!