「くるみ先輩は…おかしいです」

「…へ?」



第一声がそれ…?



なになに、どういうこと?



いきなりのことで動揺するあたし。



あたしのそばに立ってる神城も、何事?という顔でこっちを見る。



「くるみ先輩って、神城先輩のなんなんですか!?」



ざわつく食堂。



いつの間にか、その辺にいた人たちもみんなあたしのことを見てる。



やだ、なに、怖い…。



「ど、どうしたの…? 神城くんとは、たまたまここで…」

「嘘つかないでください!」



あたしの震える声を、その子が同じように震えた声で遮った。



「あたし、知ってます。最近、よく一緒にいますよね?」

「…」



何も言えない…。



見られてたんだ…。



「今日だって、待ち合わせしてたんじゃないですか?」

「そ、んなことないよ。本当にたまたまで…」

「くるみ先輩、彼氏いますよね? なのに神城先輩ともこんな風にコソコソして…。おかしいです! 最低だと思います!」



学食にいる人たちがあたし達に注目してる。



いつの間にか、スズナちゃんたちも来てて。



戸惑った顔であたしのことを見てる。



あたしの顔色は青い。



手まで震えてきた。



怖い…。



こんな風に、誰かに悪意を向けられて、みんなから注目されて…。



やばい、呼吸が浅くなってきた…。



死ぬっ…。



そのとき、あたしの頭の上に、ぽん、と温かい感触が乗った。



何が起きたか分かる前に、魔法みたいにふっと呼吸が軽くなるのを感じる。



見ると、いつの間にかあたしの横に立っていた奏が、あたしの頭に大きな手を軽く乗せていた。



そして…。



「だって僕、くるみちゃんの彼氏だもん」



そう言い放った。