目立ちたくないので奥の死角になる席。



『席取ったよ。奥のとこ』



神城にメッセージを送る。



『サンキュ。お前の分のメニューも取ってきてやるよ。何がいい?』



優しいし…。



なんかじわっと涙がにじんできた。



あたしが学食でぽつんと一人なのは紛れもなくコイツのせいなはずなのにな。



なのに神城のそんなメッセージが暖かいと思ってしまう。



それは多分、あたしのこの惨めな気分の大元の原因は神城にないから。



惨めな原因はあたしの心そのものだ…。



しばらく待ってたら神城が来た。



王子はあたしと違って遠くから羨望のまなざしで見られるタイプなので堂々と単独行動。



約束したと思われたらあらぬ誤解を招くのでたまたま相席になった風を装う。



神城があたしの分の料理も持ってるしあたしの荷物で席確保してるし無理あるけど…。



「いただきます」



神城が持ってきてくれたオムライスと小さめのグリーンサラダを食べる。



「お前、食事まで猫かぶってんの?」



神城が小声であたしを見ずに聞いてくる。



「当たり前じゃん…」

「大変だな」



大変だよ…。



オムライスもグリーンサラダも好きだけどさ…。



可愛いって思われそうな食べ物を選んで食べてる。



たまに自分でも何やってんだろうって思うよ。



誰もそんなこと気にしないのは分かってるのにね。



「神城はいつも学食なの?」

「教室と学食半々くらい」

「ふーん」



なんて話していたら、事件は突然起きた。



食べ終わって立ち上がろうとした時に、女の子3人組が近づいてきて。



上履きの色的に一年生だ。



真ん中の子は小柄で、可愛らしい見た目。



両脇の2人が真ん中の子を「ほら…」とせっつく。



真ん中の子が、おどおどした感じであたしを見た。



「どうしたの?」



その子に笑顔を向ける。



そして、驚くようなことを言われた。