口数の少ないママと一緒にご飯を食べて、その日は早めに眠った。



そして、神城にこき使われてから約一ヶ月。



初めは神城の犬なんて死んでも嫌だと思ってたけど、一ヶ月も経てば慣れてきた。



って、なんであたしがこんなことに慣れなきゃいけないのよ!



惨め~…。



今日は学食の席を取れと…。



学食の席は混むもんね…。



親衛隊の子たちを誤魔化すのが何よりもめんどくさい。



しかもこんな混む学食で、どんな言い訳して席を取ればいいんだ…。



「くるみちゃん、ご飯食べよー!」

「女子は気軽にくるみちゃんご飯に誘えていいよなー」

「男子うるさい! あたし達だって勇気出して誘ってんだよ」



スズナちゃんを筆頭に、ファン達の会話が聞こえる。



ここは幼稚園か…。



さあ、なんて言い訳しよう。



普段あたしは、豪華で可愛い彩り豊かなお弁当をママに毎朝作ってもらってることになってる。



でもそれ、大嘘。



ママが作ると地味でスカスカなお弁当になるから、前日の夜に一生懸命自分で作ってる。



自慢の料理上手なママって設定。



守ってあげたいキャラになりたいから、あたし自身は不器用で料理下手ってことにしてるけどね。



「ごめんね、ママが熱出しちゃって今日はお弁当なくて…。学食に行こうと思ってるの。でも、みんなお弁当だよね?」

「あっそうなんだ…。そっか、お母さん心配だね」

「うん…。早く良くなるといいんだけど…。一緒に食べたかったけど、ごめんね?」

「あたしの方が一緒に食べられなくてもっと残念…」



本当に残念そうなみんなを残して一人で学食へ向かった。



一人で学食に行くの、めちゃくちゃ惨めなんだけど…。



消えたい…。



みんな、親が作ったお弁当を残して学食に来る選択をしないのは良い子だと思うけど…。



あたしのことそんな好き好き言うなら、お弁当はあとにして学食着いてきてくれてもいいじゃん…。



着いてきてとかキャラ上言えないし。



でもそんなことウジウジ考えてたら学食の席を取り逃してしまう。



急いで学食に着いて、なんとか席を確保した。